本場所以外でも力士の相撲を観ることができます。そのひとつが朝稽古。朝稽古を観に行く際は、どのような内容なのか事前に把握しているとより楽しめます。
そこで今回は、朝稽古の内容を解説します。
稽古見学はどうやって行くの?
相撲部屋によって違があります。
後援会の会員のみが見学できる部屋が多いです。
稽古見学は必ず予約をしてください。
電話で希望の日にちを伝えて予約をしましょう。
初めての方は、初めてだということを伝えておくと安心です。電話は夕方ごろにしてくださいね。
稽古見学の内容
上位力士はすぐに稽古はしない
稽古は取的(幕下以下の力士)から行われます。
すぐに関取が稽古場に入ってくることは、まずありません。
これは関取が怠け者だからではなく、稽古時間を譲っているのです。
みなさんも大先輩がジッと自分を見ていたら、萎縮してしまいませんか。相撲は上下関係がはっきりしているタテ社会です。番付が上の力士に物事を譲るシーンが多いので、関取衆が稽古の最初からいると、下位の力士が稽古に励みにくくなります。
そのため、稽古は若い衆からで、ある程度時間が経過してから関取衆が稽古場に入って来ます。
若い衆から稽古を始めるのが一般的ですが、部屋によっても違いがあるようです。
基礎稽古
- 四股
- 鉄砲
- すり足
- 股割
- ストレッチ
すぐに二人組になって相撲を取るわけではありません。
朝稽古は朝食を取らずにおこなわれるので、力士も寝起きです笑
この状態で急に本格的な稽古をしたら、怪我をします。まずは基礎的なトレーニングから始めていくのです。この基礎練習は、横綱でももちろんやります。
番付が上がったらやらなくていい稽古はありません。
三番稽古
体ができてきたら、三番稽古をします。
同じ相手と繰り返して稽古をするのが三番稽古です。
序の口や序二段など下位の力士と関取が三番稽古をすることは、ほぼありません。
先述したように、そもそも稽古の時間が違うからです。
三番稽古では、技量が近い力士同士がおこなうことがほとんど。
ちなみに三番というのは、三番だけ相撲を取るという意味ではなく、実際は十番以上取ることが多いです。三番というのは、「多い」という意味で使われています。
申し合い稽古
申し合い稽古は、勝ち抜き戦のこと。
相撲を取って買った力士が、次の相手を指名するのが申し合い稽古です。
土俵上にはふたりの力士がいて、勝敗が決まると周囲にいる他の力士が手を上げて「次は自分と相撲を取ってください」とアピールします。
相撲ドラマの『サンクチュアリ聖域』を見た方なら、印象に残ったシーンでしょう。稽古総見でも申し合い稽古があり、勝利力士に手を上げて近づく様子はなかなかの圧です笑
ちなみに、勝利した力士が次の力士を指名することを「買う」と表現します。
ぶつかり稽古
ぶつかり稽古では、ぶつかる側・受ける側に分かれて攻守の練習をします。
ドンという痛そうな音がするので、見ている側はハラハラするでしょう。かなりこれはきつい稽古と言えます。
【ぶつかる側】
ぶつかる側は、相手の右胸めがけて当たります。両脇を締めて両手で相手を押していくのです。
押したら、相手に背中を押してもらって受け身を取ります。
ゴロンに土俵に転がるので背中は砂だらけに…。
いじわるをされているように見えるかもしれませんが、受け身の練習は非常に大切。受け身ができないと大けがをするからです。
【受ける側】
受ける側の力士は、腰を落として両手を広げて構えます。右足を踏み込んで、押されたら足を浮かさずに後ろに下がります。
相手によって、土俵際で踏ん張るなど力加減を変えます。
受ける側の力士にとっては、相手の攻撃を受け止める練習にもなるのが、ぶつかり稽古の特徴です。
下位力士がぶつかるとは限らない
すでに記載したように、ぶつかり稽古はぶつかる側にも受ける側にも意味のある稽古です。
そのため、必ずしも下位の力士が上位の力士にぶつかるとは限りません。
上位の力士が下位の力士にぶつかることもあります。
稽古と本場所は違う!?
本場所の取組(本割)の成績は、番付に影響します。そして、それが力士が手にするお金にも関わってくるので、本場所では何が何でも勝とうとします。
これは当然のことですよね。
では朝稽古ではどうでしょうか。稽古でももちろん勝てればよいですが、稽古は勝つためではなく、強くなるためにやるものです。
本場所では、注文相撲、いわゆる「変化」をすることがありますが、朝稽古では変化はまずありません。
負けてもよいので、とにかく強くなる稽古をします。
相手の力を利用して勝つような技は出さないのが特徴です。
本場所に慣れている方は、朝稽古の取組は地味にみえるかもしれませんが、このような地味な稽古を繰り返すことで強くなるのです。
まとめ
朝稽古の内容を紹介しました。
まずは基礎トレーニングからで、
- 四股
- 鉄砲
- すり足
- 股割
- ストレッチ
をおこないます。
体が仕上がってきたら、三番稽古、申し合い稽古、ぶつかり稽古です。
部屋によって順番が違うこともありますが、ぶつかり稽古は最後なことがほとんど。
番付が低い順に稽古をすることが多く、早朝から関取衆が稽古を始めることはあまりありません。