本場所の取組は、編成会議を経て決められます。一般の人は見ることのない会議ですが、どのような内容で、どうやって取組を決めているのでしょうか。
今回は、取組編成会議を解説します。
取組編成会議とは
取組編成会議とは、本場所でどんな力士同士を対戦させるかを決める会議のことです。
初日と2日目の取組は、本場所初日の2日前に会議で決めます。かなりギリギリに決めるのが特徴。
3日目以降は前日に編成されます。こちらも非常にギリギリ…。
かなり直前に決めるため、休場をする場合は部屋の親方がすぐに審判部に届出をします。
取組編成会議の参加者
取組編成会議の参加者は次のとおりです。
- 審判部長・副部長
- 審判員
- 行司
行司は書記として参加をします。
取組編成会議は具体的にどんなことをしているのか
番付編成会議を具体的に説明していきます。
巻とは
まず巻を用意します。
巻とは、四股名が番付順に書かれた長い紙のこと。四股名を書いているのは行司で、普段の相撲字よりも平べったく書かれています。
巻は2段になっていて、上に東、下には西の力士の四股名を書きます。これは東の力士のほうが番付が半枚上だからでしょう。
巻の右側には「鏡」という文字が書かれているのも特徴。
これは力士の勝負をそのまま書き写す鏡のようなものだから、という意味が込められています。また、不正や邪心がなく、偽りがない真実を映し出すものという意味も。
※巻の作り方については、マニアックになるので、ここでは割愛します。別の記事として取り上げる予定です。
巻は力士を映し出す鏡であり、神聖なものでもあります。力士そのものと言ってもよいでしょう。そのため、巻はまたいではならないとされています。
巻を元に編成する
取組がなるべく盛り上がるように、巻を元に編成します。
審判員たちが話し合いながら、「~の山には~の海がよいだろうか」と取組を考え、その結果を行司が書き取っていきます。
行司はこのとき、「ねずみばん」と呼ばれる巻物にメモをします。なぜねずみばんなのかは諸説あるようですが、メモは薄墨で書くため、ねずみ色をしているのです。それが主な由来であろうと考えられます。
巻は毎日の取組編成会議で使用します。四股名の上下には空欄があり、取組で勝てば四股名の下に印を押し、負ければ上に印を押します。これを元に、なるべく星の数が近い力士同士を当てて、場所が盛り上がるように組むのです。
再チェック
ねずみばんを見て、おかしなところがないかを確認します。
- 同部屋対決
- きょうだい対決
上記は本割では避けているので、誤って組まれていないかを確認するのです。
問題がなければ、印刷所で取組表をプリントします。印刷所に持って行くのも行司の仕事です。
さて、サンクチュアリ聖域というドラマでも、番付編成会議のシーンがあったのをご存じでしょうか。白い石を使っていましたね。
こちらはかなり忠実に再現しているように感じます。
(わたくしは編成会議に参加した経験はありませんが…)
この白い石は、万が一1日2番取組が組まれていないかをチェックするときに使用します。ダブってしまうといけないので、行司が四股名を読み上げて、確認したらその四股名の上に石を置くのです。もしも1日2番取組が組まれていたら、石が2つになるのですぐに気が付くことができます。
まとめ
取組編成会議は本場所初日2日前から開かれる、割を考えるための会議のこと。参加者は審判部と書記役の行司です。
巻を使用して取組を考え、この割には「鏡」という文字が書いてあるのが特徴です。