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番付表の見方や意味・知識をまとめて紹介します

相撲部屋の後援会に入っていると番付表が送られてきます。番付表にはいろいろな意味が込められていたり、昔の名残が残っていたりします。その意味を知ると、また楽しいのです。

今回は、番付表の見方や意味を紹介します。

 

番付はいつ決まるの?

番付は千秋楽を終えて3日以内に番付編成会議が開かれ、そこで次の場所の番付(力士のランキング)を相談して決めます。この編成会議には行司も書記として参加します。

発表まではトップシークレット。発表されるまでは口外厳禁ですが、「勝ち越したから、幕内に上がれるかも…」とある程度は力士も部屋の師匠もわかっています。

番付は誰が書いているの?

番付は行司が書いています。…が、行司なら誰でも書くわけではなく、相撲字に秀でた幕内格行司が担当します。

たったひとりで書くのは非常に大変なので、書き手だけでなく、助手が2名つきます。

 

先述したように、番付は発表までトップシークレットなので、書き手となる行事の自宅で作業をします。

完成したら、書き手の行司と助手の合計3人で読み合わせをして、間違いがないかチェックをし、問題がなければ相撲協会に納品をします。

だいたい1週間から10日かけて番付を書いていきます。

ちなみに、どこから書くかは、書き手によって違うのだとか。

番付板とは

番付板とは、三角屋根の家のようになっている木製の看板のようなもののこと。ここにも番付が書かれています。

三角屋根と書きましたが、実際は「入」という形になっていて、お客さまがたくさん入るようにという願いが込められています。

板番付は、220センチ×190センチと非常に大きく、こちらは支度部屋で書きます。

こちらは幕下格の行司2名が腹ばいになって書くのです。

兄弟子が上の段、弟弟子が下の段を担当するのが一般的。ちなみに間違えたら表面を削りますが、めったに間違えないそうです。

なんで変な字で番付を書くの?

番付表の文字は、一般的な書道の文字とは違います。番付に書かれる文字は相撲字と呼びます。

歌舞伎などでも似たような文字が書かれますが、これとも違い、相撲字は根岸流というもので書かれているのです。

ちょっとマニアックな内容ですが…
根岸流というのは、三河屋の根岸治右衛門が関係していて、かつては番付表は行司ではなく根岸家が書いていたのです。その名残ということですね。

1文字のなかでも余白が少ないのが特徴で、客席がたくさん埋まるように、お客さまがたくさん来場するように、という願いが込められた文字です。

 

さて、ここからは番付表を一緒に見ていきましょう!

番付表の「蒙御免」の意味は?なぜまだあるの?

番付表蒙御免

番付表を見ると、一番目立つ文字が「蒙御免」かと思います。

こちらの読み方は「ごめんこうむる」です。

かつて相撲興行をおこなうには、寺社奉行から許可を得ていたのです。「許可が下りましたよ、相撲やっていいですよと言われましたよ」という意味で書かれています。

また、御免札(ごめんふだ)というのがあり、場所開催前に会場の前に札が立ちます。

御免札が立つと、いよいよだな、と相撲ファンは思うものです。

 

昔は寺社奉行に許可を得ていた名残でもあるのですが、実際には今でも許可を得て本場所をおこなっています。私はそこまでくわしくないのですが、たしか消防や警察に「~~で~月場所を開催します」と協会が伝えているので、今でも行政の許可を得ているはずです。

千秋楽の優勝パレードでも警察の音楽隊が出ますよね。このように、今でも行政にも許可を得た上でおこなっています。つまり、令和でも御免蒙っているのです笑

番付表は5段

番付表は5段でできていて、次のような構成です。

 

  • 1段め→横綱大関・関脇・小結・前頭(幕内)
  • 2段め→十両・幕下
  • 3段め→三段目
  • 4段め→序二段
  • 5段め→序の口、理事、委員、世話人、若者頭、年寄、呼出、床山

 

ここでお気づきになった方もいますよね。
そう、三段目は3段めに書かれているのです。これは偶然ではありません。番付表の3段めに書かれるから、「三段目」という名前になっているそうです。

他の地位の由来(大関や関脇などの由来)はまた改めて記事としてまとめさせてください。

なんで前頭なの?

番付表前頭

十両の力士の四股名を探してみてください。地位が十両」ではなく「前頭」になっています。その隣の、幕下の地位にも「同」と書かれているので、幕下も「前頭」ということです。

これっておかしいと思いませんか? 地位が間違っていますよね?

実は、前頭は「前相撲の頭」という意味があるのです。

前相撲とは、番付に載らない力士たちのこと。この番付表に四股名が載っている力士はみな前相撲よりも上なので、ここでは「前頭」としています。

三段目、序二段、序の口にも「同」(簡略化されていますが「同」という字です)と書かれているので、チェックしてみてくださいね。

番付表には改名歴も載る

番付表には改名歴も載ります。

新しい四股名になり、「これ誰!?」とならないためにです。

赤矢印部分をご覧ください。

改名歴

「高橋改」とありますね。これは「高橋」から「白熊」という四股名になったということ。(かわいい四股名ですね。子ども人気が上がりそうです)

ぜひ改名した力士がいたら、この欄もチェックしてみてください。

なぜ東西に分かれているの?

番付表は東西に分かれていて、向かって右が東、左が西です。
同じ地位でも東のほうが半枚上で、その理由は太陽が東から登るから。
かつては、出身地で東西に分かれて相撲をしていたのです。
お正月のお笑い番組に近いイメージで、東日本と西日本でわかれて相撲を取っていました。

その名残だと考えられます。

相撲協会の住所は「横綱」ではない

番付表の真ん中の下には「日本相撲協会」と書かれていて、そのとなりに小さく住所が記載されています。

こちらよーーくご覧ください。

相撲協会住所

墨田区横網(よこあみ)と書いてあって「横綱」(よこづな)ではないのです。
これにはいろいろわけがあるのですが、番付とは関係のない話になるので、割愛します。Twitterなどでご質問いただければ、喜んでお答えしますので、気になる方はお声がけください。

ちなみに…手紙などは間違えやすく「横綱」と書かれてしまうことは珍しくないので、普通に配達されます笑。間違えて送っていた方、大丈夫ですよ。

なぞの文字の意味は…?

番付表

番付表左下をご覧ください。

「千穐万歳大々叶」(せんしゅうばんざいだいだいかのう)と書かれていて、これは「千秋楽までお客さまがたくさん入るようにという願いがいつも叶いますように」という意味です。

 

さて、そのとなりにも小さな文字が…。
これはなかなか読むのが難しいのですが、

「此外中前相撲東西ニ御座候」(このほかちゅうまえずもうとうざいにござそうろう)とかかれています。これは、「番付表には載っていない前相撲の力士が東西にいるので、応援をお願いします」という意味です。

番付表はお付き合いにもなる

番付表は、完成したら4分の1サイズに印刷します。なんと55万部ほど印刷するのです!

これを部屋や協会関係者に送り、部屋は力士を応援してくれる後援会の会員に送ります。

「うちの力士たちの番付表をおおさめください。また応援してやってください」と心を込めて送ります。

相撲部屋はお付き合いも大切。
しかし、後援者ひとりひとりと深いお付き合いって難しいので、こうして番付を送ることでも後援者とつながっていくのです。

 

 

このように番付表は昔の名残もたくさんあります。

見方や意味がわかるともっと楽しめます。ぜひお手元に番付表がある方は、いろいろくわしく読んでみてくださいね。

まとめ

番付表の見方や意味を紹介しました。

書いているのは幕内格の字が上手な行司で、相撲字で書かれています。

発表まではトップシークレットなので、行司が自宅で書くのです。板番付は幕下格の行司が支度部屋で作業をします。

中央の蒙御免は「ごめんこうむる」で許可を得ましたよ、という意味。
番付表では、十両以下もみな「前頭」で、幕下にも「同」と書かれています。