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マス席のチケットをお茶屋さんから買ったら心づけ(チップ)を渡すべきか解説

相撲を観戦する席には、タマリ席・マス席・イス席の3種類があります。なかでもマス席は、土俵にも近く、飲食や携帯電話での撮影ができて人気のある席。

マス席には心づけ(チップ)が必要と聞いたことはありませんか。「心づけってどうしたらいいの?」、「なにかマナーってあるの?」と気になる方もいるでしょう。

 

そこで今回は、マス席のチケットを買ったらお茶屋の出方さんに心づけを渡すべきか解説します。

 

マス席のチケットを買ったら心づけを渡すべき?

マス席のチケットを買ったら、出方さんに心づけ(チップ)を渡すべきかについて…、これは明確なルールはありません。そのため心づけを渡すのは、必須ではなく任意です。

 

しかし、相撲界の文化的には、マス席のチケットを買ったら出方さんに心づけを渡す風習があります。あくまで風習です。

 

心づけとは

心づけとは、いわゆるチップのことで、現金(お札)を出方さんにお渡しするのです。

出方さんとは

相撲の出方さんは、相撲茶屋(「相撲案内所」や「お茶屋さん」とも呼びます)に所属していて、粋な着物姿でマス席まで案内してくれる人のことです。

御用聞きもしてくれ、お茶や国技館焼き鳥など、必要なものを注文すると席まで運んできてくれます。
サザエさん』に出てくる「サブちゃん」に近いイメージです。

マス席のチケットを買うと心づけを渡す理由とは

そもそも、どうしてマス席のチケットを買うと、お茶屋さんの出方さんに心づけを渡す文化があるのか解説します。

  • 出方さんは無報酬で働いていたから
  • お茶屋さんに利益がないから
出方さんは無報酬で働いていたから

相撲で心づけを渡す理由1つめは、出方さんが無報酬で働いていたからです。

現在とは異なり、かつては出方さんは無報酬で働いていた過去があり、その際に「それではかわいそうだから…」と、観客がお金を手渡しする習慣がありました。

それが今でも残っていて、出方さんに心づけを渡しています。

お茶屋さんに利益がないから

相撲で心づけを渡す理由2つめは、お茶屋さんに利益がないからです。

大相撲のマス席のチケットは、相撲茶屋の管轄です。

相撲茶屋とは、国技館の入り口にずらっと並ぶお茶屋さんのこと。国技館には20軒の相撲茶屋が存在し、お茶屋さんの女将さんはなにかしら相撲界とのつながりがあります。

 

たとえば、10,000円のマス席のチケットをAさんが購入したとします。マス席管轄は相撲茶屋なので、Aさんはお茶屋さんに10,000円を支払いますが、その売上の10,000円は、お茶屋さんではなく相撲協会に入ります。
これでは、相撲茶屋には利益がありませんよね。

そこで、10,000円のチケットと一緒にお弁当セットなど、出物を販売します。

お弁当やお茶などを抱き合わせで買ってもらうことで、相撲茶屋は利益を出すのです。

つまり、相撲茶屋としては、チケットだけ買われてしまうと、まったく利益はありません。

このことから、相撲界ではマス席のチケットと一緒にお土産セットやお弁当セットを買い、さらに心づけを渡す、という文化が生まれています。

 

繰り返しますが、あくまで文化や風習であり、守らなければいけないルールではありません。

心づけの相場はいくら?

心づけの相場は、1,000円から5,000円です。

心づけは「義務」ではないため、明確な値段も決まっていません。

先述したように、マス席のチケットのみを買うと、相撲茶屋に利益はでないため、チケットのみを買い、お茶屋さんからお弁当やお茶などを買う予定のない方は、やや多めに心づけを渡したほうがよいでしょう。

心づけを渡さないとどうなる?

繰り返しますが、心づけは義務ではありません。
心づけを渡さないという選択肢もありで、実際には渡してない方も存在します。
(海外からの観光客は、心づけの文化をそもそもご存じないのでは)

心づけを渡さないからといって、なにかペナルティになることはありません。

出方さんの反応があからさまに悪くなるということも、今ではほとんどないでしょう。
今の時代、態度が明らかに悪ければ、SNSなどで批判されるリスクもあるので、ニコニコしてくれています。

出方さんは客商売なので、心づけは今や「もらえたらラッキー」くらいに考えているかと思います。

 

このように、心づけは必須ではありませんが、相撲茶屋に一切利益にならないことを考えると、結論としては1,000円は包んでもよいのかなと思います。

粋な風習なので、相撲の楽しみ方の1つとして、心づけを渡してみませんか。
おとなになった気分になれますよ。

心づけの渡し方

心づけの渡し方を紹介します。

こちらも特にルールはないですが、流れを解説していきます。

1.相撲茶屋の入り口から入る

まず、国技館の入り口でチケットを見せると、窓口担当者(親方)が「こちらへお進みください」と案内してくれるはずです。
国技館の入り口は2つあり、一般入り口と相撲茶屋の入り口です。

マス席の場合は、相撲茶屋の入り口からの入場なので、指示通り進んでください。

 

2.担当の相撲茶屋に行く
国技館の場合、20軒もの相撲茶屋が並んでいるので、その日の担当の相撲茶屋のところまで行きます。

担当の相撲茶屋は、マス席のチケットの裏をチェックしましょう。チケットの裏に書かれている番号が記載されているので、その番号の相撲茶屋のところへ行きます。

 

3.出方さんにチケットを見せる←心づけを渡すタイミング①

相撲茶屋の前には、着物姿(たっつけ袴)の『出方さん』と呼ばれる男性スタッフがいるので、チケットを見せてください。
そのときに「本日はよろしくお願いします」とあいさつをして、心づけを渡すのがおすすめです。

 

4.席まで案内してもらう←心づけを渡すタイミング②
出方さんに席まで案内してもらったら、「ありがとうございました」と言って、心づけを渡すのもありです。

心づけを2回渡す必要はありません。

心づけを渡すときのマナー

心づけを渡すときのマナーに、特に変わったものはなく、常識的に渡せばOKです。
現金をお渡しするので、ポチ袋に入れることをおすすめします。100円ショップで売られているもので問題ありません。

小銭ではなく、お札にしましょう。

また、「今日はよろしくお願いします」、「ありがとうございました」と、ひと言そえて両手でポチ袋を渡すと、お互いに気持ちがいいものです。

 

楽しく相撲観戦しましょうね。